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第一章 旅人と剣士 1


 北の大陸は広大で、気候穏やかと呼べる場所はほんの僅かだ。細い道で結ばれる二つの大地、それらを纏めて北の大陸と人は呼ぶ。
 大陸の北西部分の北は氷河、その中部は黒い森に覆われた山岳地帯。東に行けば亡国の名残でむき出しの鉄が大地を覆い、その西には魔に覆われた化石の森。
 細い陸地で繋がれた、魚の尾ひれのような形の南東部分は、北は湿地帯、南部は砂漠に分かれていた。
 そして、それらに挟まれるようにして、砂吹き荒れる褐色の土地。

 荒野である。

「こ……の!」
 ぎ、と耳障りな音を立て、金属がこすれあう。手首を返し、両足に力を込めながら、シファカは必死の思いで刀を引き抜いた。鮮血が肌に飛沫を散らしたことにもかまわずに、目の前の身体にとどめにもう一度刀を突き刺す。
 足で崩れ落ちたその身体を固定し、刀を引き抜きざま背後に叩きつけた。がっ、という低い呻き。腰を捻り、そのまま回し蹴りを繰り出す。血が吹き出す顔を抑えて絶叫する荒い息を肩で繰り返し、シファカは空を仰いだ。
 荒野の空は白い。
 他の土地の空をシファカは知らない。砂漠は陽炎が揺らめき、その上に目を焼くほどの蒼穹が広がるという。けれどこの土地の空は白かった。というよりも、黄味がかかっている。それもこれも、すべては吹き荒れる砂のせいだ。
 この乾いた大地には、常に黄色い砂が吹き荒れている。砂漠ではない。ただ表面を撫でるようにして、息を吸うだけで肺に入り込む粉末状の砂が、常に大地の表面を撫で、大気を汚しているのだ。
「団長」
 累々と積み重なった死屍を踏み越えて、兵士たちが歩み寄ってくる。人数にして十人足らず。近づけば近づくほど彼らと自分の体格差が際立つ。シファカは頬の血を手の甲で拭い、彼らに微笑み返した。
「セタ。ラットは?」
 先頭を歩いてきた、褐色の肌に赤みの強い茶の髪をもつ男に、シファカは尋ねた。彼は外套を被りなおしつつ、無精ひげの伸びたあごで後方を示唆した。見慣れた剣が大地に突き立ち、そこから手が伸びている。
 ぴくりとも動かない、手。
「……そう」
「善戦したって団長。俺たちの勝ち。死者はあいつだけ。怪我人はまぁ……」
 そう言って、セタは背後を振り返る。ここまでたどり着けず蹲りながら、手をひらひら振ってくる者が数人。仲間に肩を貸してもらいながら、こちらに歩み寄ってくるもの数人。
 シファカ自身も酷い有様だ。体中擦り傷きり傷打撲。目だった大きな怪我が無いのは幸いだが、どこか身体を傷つけているのかもしれない。呼吸するたびにずんという鈍痛が身体を襲う。内蔵を傷つけていなければいいけれども。
「お姉さま」
 か細い呼び声に、シファカは反射的に面を上げた。部下たちが、苦笑しながら道を空けている。
「エイネイ?」
 仰天しているシファカの元に、黒髪に包まれた頭が飛び込んできた。思わず刀を取り落とす。がしゃんという音が響いたのを合図に、身体を摺り寄せてきた少女がわんわん泣き喚いた。
「お姉さま! お姉さま! あぁ良かった。ご無事で…………!」
「ちょ、エイネイ服が汚れるじゃないか。そんなことを、するものじゃないよ。はしたないって」
 シファカと双子の妹であるエイネイの身の丈自体はさして変わりはない。黒い髪も顔立ちも酷似している。が、立場が決定的に違いすぎた。
 彼女の薄布を何枚も重ねた貴婦人の衣装は、既に泥で汚れてしまっている。それでも護衛役のシファカに、エイネイはこんなふうに抱きついて泣くべきではなかった。
「やれやれ。お姫様には仕方がないなぁ団長」
 セタが肩をすくめて目配せを送ってくる。ひとまずシファカは、衣服の比較的綺麗と思われる部分で手を拭い、血がついていないことを確かめてからエイネイの背中をさすった。
 再び空を見上げ、太陽の眩しさに目を閉じる。
 乾いた風が、充満した血の臭いをさらっていった。


白い空と、褐色の大地、灼熱の砂。

ここは、不毛の王国。



不毛の王国



 東の大陸に程近い、北大陸南東部。岩肌をむき出しにする山麓に囲まれ、褐色の棚が大地に影を落とす。さえぎるものが何も無い空と大地。ただ砂だけが、重苦しく空気を濁らせていた。
 気温はこの荒野の南部、砂漠地帯よりは安定しているとはいえども、昼は陽炎揺らめく灼熱、夜は吐息が白くなるほどの厳寒。物は生まれることはなく、育つことはなく、生むことも育てることも難しい。
 固定された一つの湖と、移動する六つの小さな湖を水源として恃み、ただ人だけが、歴史を刻んでいた。
 湖の王国ロプノール。荒野に生きる人々のよりどころとして存在する小国は、皮肉にも広くこう呼ばれている。
 不毛の王国、と。


 かーん、きーん、こん、かんっ
 鋼を打ち付ける音が断続的に響くその場所は、シファカにとって心休まる場所のひとつだ。日に焼けた肌を汗で濡らし、男達が必死に金槌を振り下ろし続けるその様に、ある種の感銘を覚える。
 男たちの中でもひときわ立派な体躯の初老の男が、ことりと金槌を置き、首にかけられた手ぬぐいで額の汗を拭いながら立ち上がった。入り口にもたれかかるようにして立っていたシファカは、微笑みかけてくるその男に片手を上げて、戸口から背を離した。
「ナドゥ」
「すまんなシファカ。待たせた」
 首で合図してくる彼に、シファカは付いて歩いた。その足取りもなれたもので、通されるのは奥の居室だとわかっている。
 幼い頃から、ここはシファカの隠れ場所なのだ。
 石造りの家は、鍛冶場や外の空気を遮断して冷涼だった。木製の使い込まれた円卓と椅子、その奥には石造りの釜戸。窓越しに見える中庭には井戸が見える。左手には二階へ上る階段があり、シファカが幼い頃に描いた絵が飾られていた。円卓の下に敷かれた、この地方特産の色鮮やかな織物が好きで、よく寝そべって寝入ったものだ。金属製の風鈴もシファカが幼い頃暇つぶしに作ったもの。ひねくれた金属の棒が風に乗ってふれあい、ちりちりと音を立てていた。
 家のような、気がしていた。実際、幼い頃に両親がなくなってから――おそらく、それ以前からも――ここが、ここだけが、自分の隠れ場所だった。
「何か飲むか?」
「水もらえる?」
 椅子を引いて腰を下ろし、シファカは一息ついた。炊事場に入ったナドゥが、釜戸の横の瓶の中に柄杓を差し入れ、陶器の高杯にたっぷりと水を注ぎいれる。その動作を視界の端に捕らえながら、シファカは抱えていた布を卓の上に広げた。
「こいつぁ」
 水を持って戻ってきたナドゥが、深く深くため息をついた。
 布にくるまれていたのは一本の剣だ。銀色の刀身が美しい。鍔の部分には見たことの無い鳥と花が精緻[せいち]に透かし彫りされていた。この地域では珍しい型の[つるぎ]で、刀という種類であるらしい。横に置かれる黒塗りの鞘も、金で縁取りされ、一体何で染色してあるのやら、絹糸よりも美しい光沢を持つ組紐が飾り付けられている。
 だがナドゥの吐息は感嘆のため息ではない。
「派手にやらかしたもんだなぁ」
 呆れのため息である。
 どうにもバツが悪い。肩をすくめながら上目遣いに彼を見つめ、シファカは説明を試みた。
「こっち戻ってくるときにナサバの部族とやりあっちゃったんだ。そのときにね」
「だからってこれは無いだろう。お前俺がぽっくりいってたらどうするつもりだったんだ? この国じゃぁこいつを修繕できるのは俺しかいないんだぞ?」
「だから御免って」
 綺麗に真ん中で折れた刀身を前に、両手を合わせて懇願する。それに彼が弱いことを、シファカは知っていた。ナドゥは父の後見人を買って出ていた男だ。両親が亡くなって以来、シファカのことを孫娘か何かのように特別可愛がってくれていた。
 ――彼ばかりは、エイネイのほうを贔屓することは無いのだ。
 ふっと胸を占めた感情に苦笑して、シファカは思わず小さく頭を振った。
 刀身に移った自分の顔を覗き込む。長い黒髪を頭の後ろで無造作に結わえた女の姿。少女というには大人びた顔をしているとは思うが、あどけなさが抜けきらないのもまた事実だ。少し吊りぎみの目には珍しい紫金色の瞳が収まっている。日に焼けてはいるけれど、肌は褐色に程遠い。色はこの土地の土着民であるナドゥやセタ達のそれよりもうんと薄かった。よくいって、小麦色程度だ。頬にはまだ真新しい蚯蚓[みみず]腫れの跡。先日の斬りあいで、傷つけたもの。
「まぁいい機会じゃないか。しばらくのんびりしたらどうだ?」
 煙管に火を入れながら、ナドゥが言う。シファカは口先を尖らせて反論した。
「駄目だよ。エイネイの周りが騒がしいんだ。輿入れの日だって近いんだしさ」
 皇太子妃、もしくは国妃になる女は供のものを連れて一定期間部族廻りを行う。この不毛の王国周辺にはいくつも小さな部族が点在していて、そこに輿入れの報告を自らが入れるのだ。このわずかな水を分け合う荒野の友としての、礼儀と契約の証であった。
 だがその輿入れの宣を、狙われた。この国に戻る途中、襲撃にあったのだ。返り討ちにしたものの、一人が死亡。団の者のほとんどが負傷者。そこに、無論自分の名前も連なる。
 シファカは静かに首を振って、笑顔を取り繕った。
「代わりの剣を貸してくれないか? 人手が足りなくて困ってるのに、私だけ休むなんて出来ないよ」
「ま、気持ちはわかるが……」
 ナドゥが白い頭を掻いて、困惑の表情を浮かべている。シファカの満身創痍を見てだろう。
 今日、シファカはかなり身丈や[まち]、そして[ゆき]に余裕のある白い上下を着ていた。それもこれも、体中いたるところに巻かれている包帯を隠すためであることを、彼は見越しているのだ。
「大丈夫だよ。傷ならすぐに治るから」
 普通の人間ならいざ知らず、珍しい色の瞳が指し示す通り、シファカは内在魔力が高かった。傷の治りも他人と比べれば格段に良い。無茶さえしなければ、一般の人ならばなかなか治らないような傷も、すぐに癒える。
「そういう問題じゃぁない」
「じゃ、どういう問題なんだ?」
 傷のことでないならば、一体どの理由なのだ。シファカは眉根を寄せて訊きかえした。あ、と思い当たる。先日刀を研ぎに出していたときに借りていた剣を、めちゃくちゃにして返してしまったことを思い出したのだ。
「あ、ご、ごめん。今度はかりた剣ちゃんと返すから」
「そうじゃない。剣なんかどうだっていい――いやよくないが」
 この小さな国一番の鍛冶師である彼は、職人に良く見られるように口下手だ。長い言葉を話そうとすると、どうしても歯切れが悪い。一つ一つ、噛み締めるようにナドゥは言う。
「エイネイも大事だ。そりゃ皇太子様の花嫁だし、お前はそこの護衛団長だからな。だけどお前さんももうちょっとその身体を大事にしなけりゃ、身体壊すし、いつかしっぺ返しが来るぞ」
 ふ、と紫煙を吐き出して、ナドゥは照れくさそうに頭をかいた。もう齢八十を間近とするのに元気な御仁だ。彼は煙管を置いて刀を布で包み込む。丁寧に抱きかかえられる包みを目で追いつつ、彼の引き結ばれた口元を見て、シファカは微笑んだ。
「……ありがとうナドゥ」
 時折、ナドゥのこういった優しさが痛くなる。この人はいつも自分の心配をしてくれるのだ。幼い頃、付人たちから自分をかくまって、一人で泣く場所を作ってくれたのもこの人だった。
「飯は食ってくのか?」
「あ? ううんエイネイが会食なんだ。付いていかないと」
「そうか」
 なら代わりの剣を渡そう。ナドゥがそう言って立ち上がる。シファカは水を飲み干すと、黙ってその背中について歩いた。


「窮屈そうな生き方をしてる子だね」
 少女が宮城に戻り、静まり返ったと思った矢先、部屋に男の声が響き渡った。
 面を上げれば階段の手すりから、顔を覗かせている男の姿がある。淡い茶の髪と、亜麻、と呼べばよいのだろうか、金に薄い紅を溶かしたような色の瞳をもつ男。年は二十八になると言っていた。どこかとぼけたような表情を浮かべた男で、口元に浮かぶのは、不敵とも取れる笑みだ。
 ナドゥは彼を見上げ、眉根を寄せて呻いた。
「どこいってやがった?」
「んー? 二階だよ? 言われた通り、お掃除しておりました」
 とんとんとん、とゆっくり段を下りてくる。その悪戯げな微笑に、思わずナドゥは顔をしかめた。
「……なんだ?」
「いやなかなか見ものだったねー。あれが噂のじっちゃんの愛しの君。いい年してあんなに相好くずしちゃってまぁ」
 ナドゥは先手必勝で拳を振り上げた。が、男は軽々と、ナドゥの拳をかわしてみせた。
 鋼の買い付けに出かけた先の荒野で拾ったのであるが、どうしてなかなか。何ゆえあのような場所でくたばりかけていたのか判らないほど、男は身軽な動きをする。
 間合いをとって佇む男を見て、ナドゥは男に攻撃をしかけることを諦めた。かちゃかちゃと卓の上を片付けながら、独り言のように呻く。
「あいつはどうも、自分を粗末にしすぎる。まぁ周囲が妹ばかりを可愛がるから、その関係もあるんだろうがな」
 脳裏に思い描かれるのは、鍛冶場を駆け抜け、この居室で膝を抱えていた一人の少女だ。もうそのようなことを彼女がすることもなくなったが、今でも痛々しい部分が残る。
「ふうん。あ、ねぇ刀見せて。珍しいねこの国で刀使ってるのって」
 気のない返事。ナドゥの視線の先で、彼は好奇心溢れる眼差しをして、薄く笑っている。ため息をついて、男のいうまま、ナドゥはシファカが持ってきた包みを卓の上に広げた。その上に、先ほども眺めた刀が転がり出る。
 折れてはいるが、刃こぼれの見当たらない刀身、美しい[つば]と黒塗りの鞘。護衛の役に付くといいはった少女に自分が持たせたものだ。ナドゥの今は亡き師匠が打った、異国の名刀だった。シファカの細腕にこの土地の円月刀は太く重い。腕を痛めてしまいかねないほどに。この刀ですら十分すぎるほど重量はあるが、まだましであろうと思い、彼女に持たせている。
 男は鍔を指先でなぞりながら、感嘆の吐息を漏らした。
「へぇ。いい刀だ。白雉の細工だね。鞘もいいものじゃないか。飾り紐はウル・ハリスの紅絹だし、飾り玉も最高級の縞瑪瑙玻璃。しかも双子玉だ。どうしたのコレ?」
「……判るのか?」
 この刀が名刀だということをナドゥは師に聞かされて知っていたが、どういう風に価値のあるものなのかまではわからない。ナドゥに判ることは、この刀を構成する美しい鋼が、芸術と呼べるほどの一品であるというその一点のみだ。
 が、男は目が利くらしい。男は見事に刀の質を言い当てた。つらつらと並べたてる刀の拵えの名称も、おそらく正しいのだろう。
「うん。名刀だよねコレ。鋼も最上級のものだ。血と油に汚れても、切れ味が鈍らない。折れたのは肉に食い込みすぎて、無茶したんだな」
 ナドゥは目を瞠った。鋼の質まで言い当てるとは。目が利くとは思っていたが、そのほかにもこんな風に時々、男には驚かされた。まだ付き合い始めて一月もたたないが、彼は不思議な男だった。
「直せるの?」
「まぁな」
 尋ねてくる彼に、ナドゥは頷いてみせた。素早く刀を布で包みなおし、それを抱えあげる。
「今から超特急だ。おい、食事できたら呼べ。鍛冶場にいる」
「はいはい」
「返事は一度でいい」
「はーい。……あ、そうだ。じっちゃん」
 ナドゥだ、と名前の訂正を入れかけ、やめた。無駄だということを思い出したからだ。これまで幾度も訂正したが、男はナドゥをじっちゃんと呼んで譲らない。
 男はとても楽しそうに――本当に楽しそうに、炊事場で調理器具を広げていた。かちゃかちゃという器具の触れ合う音をさせて、彼が尋ねた。
「あの子の名前は?」
「……聞いてどうする」
 疑いの目でナドゥは男の背中を睨んだ。かなりの優男である彼は、周辺の女から頻繁に声をかけられ、また彼自身もその遊びに応じていることをナドゥは知っていた。正直言って、あまり彼女に関わって欲しくはない。シファカはいわば、ナドゥが手塩にかけて育てた孫娘、と呼んでもいいほどなのだ。
「別に」
 男は気のない返事をしてきた。
「多分また会うでしょ。その刀取りに来るときに。知っておいて損はないんじゃないかなって思っただけ」
 炊事場から鼻歌が響きだす。少し調子っぱずれな、聞いたことのない異国の旋律だ。一体どこからどんな風にこんな場所に流れ着いたのやら。軽い言動に叩きだしたくなることもしばしばだが、楽しげに作られる男の料理はなかなか味わえるものではなく、掃除洗濯以下何を押し付けても器用にこなすので、ついついそのまま家事一切を任せている。
 奇妙な男だな、と思いながら、ナドゥは答えた。
「シファカだ。シファカ・メレンディーナ。来月にご成婚を控えていらっしゃる、次期皇太子妃の双子の姉君だ。お前なんかが軽々しく口を利いていいと思うな」
「じっちゃんは利いてるじゃんかぁ。そんなこと気にしそうな子には見えなかったよぉ? 別にあってどうこうするつもりは毛頭ないしぃ?」
「ジン!」
「なにぃ?」
 ひょい、と顔をのぞかせる男は、片手に計量の器を持っている。もう一つの手には柄杓。男のある意味気の抜ける格好に毒気を抜かれ、ナドゥはとうとうと忠告するのも面倒臭くなった。
 男に向かって、低く呻く。
「……さっさと飯つくりやがれ」
「あいよぉ」
 唯一つの名前と、年齢についてしか語らぬ男は、へらりと笑って台所に引っ込んでいく。
 ナドゥは再び響く鼻歌に耳を傾け、小さく嘆息をすると踵を返した。


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