寝相(裏切りの帝国)


「あのさ、ジン、一つ聞いていい?」
「あぁうんいいよ? なに?」
 ハルシフォンはジンに許可を取った後、きょろきょろと周囲を見回した。そしてぐ、と顔を近づけてやけに神妙な面持ちで尋ねて来る。
「シファカって、明け方、へんな寝言いったりしない?」
「……しないけど?」
「あのさ、じたばた暴れたり、殴ってきたりとか、しない?」
「しないよ?」
「寝台から蹴りだされたりとか」
「……エイネイちゃん、寝相悪いの?」
「明け方いちゃいちゃしてみたい……」
 ぐす、と鼻を鳴らす一国の王に、ジンは生ぬるい眼差しを投げた。
「…………うん、なんか、色んな意味で君に同情してあげるよ」