カフェ(FAMILY PORTRAIT)


「カフェって、やっぱ女の子同士でくるべきよね」
 はぁ、と嘆息する朔ねーさんに、私は尋ねた。
「どうしたんですか朔さん?」
「だってね、ユトちゃん。隻さんとくるとね。まったり長居できないんだもの」
 日の当たる居心地のよいカフェで、まったり本を読むのが好きなのに。
 ぺしゃりとテーブルの上に突っ伏す朔さんに、みっちゃんがなるほど、と頷いた。
「確かに長居できないですよね。視線ざくざく突き刺さって居心地悪い」
「あぁ、それ判る。すっごく今判った!」
 私はケーキをフォークで切り分けながらうんうんと頷いた。
「でもそれいうとさ、女の子同士っていうか、棗姉さんとも来づらいよね」
「棗おねーさんも、やっぱり人目引きますもんねぇ。猫招館では普通にお茶できますけど」
「先輩とカフェするときは、いっつも頑張って人が来ない穴場を選ぶ」
 探すのも苦労するの、と呻く朔さん。あぁ、ですから朔さん、ご飯たべたりお茶したりするところに詳しいんですね。
「わかった。みっちゃん。カフェを経営すればいいんだよ!」
「えぇー!?」
「叶クンにギャルソンエプロン着せるの! 猫招館二号店とかどう!? 私が隻さんとくるときだけ貸切で!」
「ええぇえぇ!?」
「あははははは朔さんそれナイスアイディアってか、叶君のギャルソンエプロン似合いすぎ!」
 リアルで想像してしまった。
「あぁ、まったり素敵」
「ですねぇ」
「朔さん、そろそろ次のお茶注文しません?」
「そうね。何のもうかぁ?」
「はいはい! 私こっちのスカンジナビアンブレンド試す!」
「ラベンダーラテとか美味しそう。これにしようかな」
「あ、みっちゃん頼むんだったら、私にもそのラテ一口くださいな。私は何にしよう。チェリーブロッサムにしようかなぁ。コーヒーにしようかなぁ」
 そしてまた、最初の議題に戻る。
「カフェはやっぱり、女の子同士でくるのがいいよね」
 朔さんは、カフェで何かトラブルがあったのかしらと、思った、昼下がり。