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つまりはこんな会話


「だからなんでアンタがいるの?」
「僕はクラスメイトなんだからいたっておかしくないじゃんか」
「そしてなんなのこの手」
「それはこっちがききたい」
「なんで」
「いきなり掴まれた」
「はー? なんで私がアンタの手、掴まなきゃいけないの?」
「だったら何でおまえの手が、僕の手の上にあるわけ?」
「……ほんとだ。なんで?」
「いや、僕にきかれてもさぁ」
「……悪かったわ」
「ん。素直で結構」
「だからこの手放してよ」
「あー嫌だ」
「何で!?」
「……嫌がらせ?」
「……全く、私にとって最高の嫌がらせだと思うんだ。ねぇ叶。なんでその気まぐれを、アンタが可愛くてかっこよくて好きで仕方がないっていう女の子たちにしてあげないの?」
「答えはひとつだよ、みちる。それをすると、皆喜ぶ。僕は、喜ばない顔が見たい」
「嫌がる顔がみたいってこと? それ」
「うん」
「……サディストっていう言葉知ってる?」
「もちろん。あぁうれしいなぁみっちゃん、その最高に嫌そうな顔がね」
「アンタにみっちゃんって呼ばれると、反吐が出そうよ、叶君?」
「おまえに君っていわれるのもなんか嫌だ」
「あーすてきぃ、その嫌そうな顔」
「……サディストっていう言葉、知ってるんだよね?」
「もちろんよ」
「……最高に嫌な女」
「うん。アンタも最高に嫌な男。ねぇそろそろ帰ろうよ。いつものことだけど、私店番あるんだ」
「僕もあるよ」
「……今日、お店の日?」
「今日というより、いつものことだけど」
「じゃぁ急がなきゃいけないじゃない。早く帰ろう」
「そうだね。ほら、さっさと用意する」
「え? もしかして一緒に帰る?」
「帰り道一緒だからね。送っていきますよ」
「フェミニスト」
「だって僕、妹尾家の人間。知ってるじゃん」
「アンタだけ、そこに似非って付くけど」
「あ、いう? そういうこと、いう?」
「いったらどうなるの?」
「嫌がらせをする」
「どんな嫌がらせよ」
「ひとまず、手を繋ぐ?」
「やめてよべたべたする」
「あついのは、みちるの手だって」
「うん。だから、あんたがべたべたするでしょ。気持ち悪くないの? 私は気持ちいいけど」
「気持ち悪く? ないけど」
「あそ」
「うん? 気持ちいいってことは、もしかして嫌がらせになってない?」
「叶クンの手は冷たくてキモチイイデスネー」
「すごい棒読み」
「本当に気持ちいいよ」
「うわやめて。やっぱり嫌な顔されてないと。手を放す?」
「そうね」
「帰ろ帰ろ。馬鹿馬鹿しくなってきた」
「ちょっとま、うわ!」
「わ! ……唐突にどうしてそんなところでこけるんだよ」
「し、知らないよ」
「ほら、手、だして。支えるから」
「ん」


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